「誕生日には真白な百合を」歌詞の英語訳を通して、解釈が分かれた理由(J-POPで英語学習)

こんにちは。

今日は福山雅治さんの「誕生日には真白な百合を」という曲の歌詞について書いてみたいと思います。この曲は、2013年にTBS系の日曜劇場枠で放送されたテレビドラマ「とんび」の主題歌でした。

今回、歌詞を日本語から英語に翻訳するなかで、表現について解釈の分かれた箇所があったことが興味深かったので、それを多くの方にシェアしたいと考えました。日本語と英語、2つの言語を照らし合わせながら、歌詞についての解釈をまとめます。

目次

私にとって、歌詞の英語訳が必要になったのはなぜか

はじめに、経緯からお話をさせてください。

私は今パリに住んでいるのですが、夫とともに海外に引っ越すにあたって、自分の中にいくつかの目標を立てました。そのうちの1つが「遠く離れた日本にいる家族や親しい友人の誕生日を、ピアノの演奏動画でお祝いしよう」というものでした。

ピアノの練習を再開した私は、まず自分のYouTubeチャンネルを作りました。各SNSはパリに引っ越した際に始めたのですが、Instagramの投稿からYouTubeの動画を視聴してくださる海外のフォロワーさんができたことで、日本語のみで投稿を続けるのもどうなのだろう…と感じたことが大きなきっかけです。

今回、J-POPの曲を初めて投稿することになり、日本語の歌詞と英語訳を両方入れてみることにしました。英語の翻訳に関しては、HEC Parisに留学中の夫が引き受けてくれました。

「子から親への思い」が綴られた歌詞

福山雅治さんはご自身のお誕生日に、故郷の長崎に住んでいらっしゃるお母様のため、実際にお花を毎年贈られているそうです。歌詞の中に出てくる「産んでくれて、ありがとう」のメッセージも添えられているようで、とても素敵ですよね。

この曲にはそういったご自身のエピソードや、10代のころに亡くなられたお父様への思いが綴られています。百合には「子としての愛」という花言葉があることから、この曲のモチーフに使われたそうです。各参考サイトは後述します。

それでは以下に、日本語の歌詞と英語訳を交互にまとめてみました。夫からヒアリングした一言メモも付け加えています。

誕生日には真白な百合を(作詞/作曲 福山雅治) 翻訳:Shoki Saga

あなたがくれたこの名前は
いくつの願い込められてるの
そこから見えるわたしの素顔は
誇れるものですか

This name that you gave me
How many wishes did you put into it?
My face that you see from over there
Is it something you can be proud of?

「そこから見える」は「you see/you can see」で迷いましたが、ずっと見守ってくれているという意味を込めて「you see」に留めました。
「そこから」はおそらく天国を暗喩しているのだと思いますが、ここでは直接的な表現(例えば、from the sky/heaven)を避けて「over there(向こう/そちら)」というthereよりも少し遠い距離の意味を込めました。

あんなに嫌いで
飛び出した故郷

家族の声も
ただ重くて
苛立っていたよ

そんな姿はあなたからすれば
泣き続けた幼子の頃と変わりはなく

I hated it so much that
I fled my hometown

I was also annoyed with the voices of the family that became a heavy burden on me

My behaviour, from your point of view, was as if I had never changed since I was a crying baby

「あんなに嫌いで」は果たして何が嫌いだったのかを考えました。文章の繋がりとしては故郷のことでしょうか。当時の反抗的な自分への嫌悪感なのかもしれないとも解釈することができます。そのため嫌いだったのが「名前/わたしの素顔/故郷」のどれにも当てはまるよう「it」という表現に収めています。

いくつになっても同じだと
子供扱いするばかりで
認めてくれる言葉もないまま
会えなくなるなんて…

No matter how old I got
Always treated me like a child
Without even giving me any word of approval
We ended up not being able to see each other again…

「会えなくなる」=死が表現されていますね。ここでも直接的な表現を控えて、同部分の英訳は「もう二度と会えなくなってしまったね」という意味に留めました。

年に一度の誕生日だから
照れずに言うよ
「産んでくれて、ありがとう」

Today it’s my birthday that only comes once a year 
So I shed shyness and say it 
“Thank you for giving me life.”

「産んでくれて、ありがとう」=Thank you for giving birth to meという表現もできると思います。ですが、個人的にやや義務的なニュアンスを感じ、代わりに「life(命/人生)」という言葉を用いました。また、この歌詞は福山雅治さんのご両親のエピソードが両方混ざっていると考えられるので、ご両親のどちらにも適用されるよう、give birthという表現を避けました。
また、これが誰の誕生日であるかを私たち夫婦の間で議論しましたが、産んでくれた日/自分の名前をくれた日にフォーカスしていると解釈し、親ではなく本人の誕生日であると結論付けました。
「そんな誕生日、今日ぐらいは照れずに言わせて」という意味を込めて、英訳では文頭に「Today」を付け足しています。

あなたがくれたこの心は
やさしい人を選びました
自分じゃなくて
家族の笑顔を 願ってる人

いつか 会ってください

This heart that you gave me
chose a kind partner,
A person who wishes for a smiling family first, not for herself/himself

Please meet her/him one day

冒頭の「あなたがくれたこの名前は」が、ここでは「あなたがくれたこの心は」に変化しています。歌の主人公の成長が見られて、感動的ですね。英訳の方も「name」を「heart」に変えるだけにしました。

真白な百合を
写真に飾ろう

聞いてもいいかな
認めてくれるかな
この生き方を

Let me attach a pure white lily to your picture

I wonder if I can ask you
I wonder if you’ll accept my way of life

「真白な百合」は何本なのか、日本語では表現されないことが多い部分です。複数形にしたいのであれば、明確に「たくさんの真白な百合」と書かれるのではないでしょうか。敢えて何も書かれていないことから、英訳では単数形の「a pure white lily」にしました。
また1輪の百合の花であることから「写真に飾る」の部分は、写真の周りを華やかにさせる「decorate」よりも、1輪を添える意味で「attach」という言葉の方が、儚げな雰囲気や愛しさを表現できると感じました。

日本語の歌詞は間接的な表現が多いので、歌詞の意味を解釈し、どこまで英語に翻訳するべきか悩みました。

たとえば、松本人志さんの書かれた「チキンライス」という曲の歌詞では「俺はまだまだチキンライス“で”いいや」が最終的には「やっぱり俺はチキンライス“が”いいや」に変化します。言い回しとしてはシンプルですが、日本語の繊細な表現が伝わってきます。

今回、英語への翻訳を通して日本語の美しさを改めて学ぶことができました。今後も続けていきたいと考えています。

参考サイトまとめ

こちらは私が母への誕生日プレゼントとして贈った演奏動画です。

今回使用した楽譜はヤマハのぷりんと楽譜より、ピアノソロの中級になります。ダウンロード先はです。

その他、英語の翻訳に際して以下のリンク先を参考にさせていただきました。

この記事を読んでくださった方の中に「今度の誕生日は、この曲をプレゼントしてみようかな」と考えられた方がいらっしゃいましたら嬉しいです。最後までお読みくださり、ありがとうございました。

この記事が気に入ったら
フォローしてね!

目次
閉じる