長期滞在者がパリでアップライトピアノをレンタルするには(体験談)

こんにちは。前回の記事でパリ郊外のアルクイユという街をご紹介しましたが、今回はその続きになります。

この記事では、私がパリでアップライトピアノをレンタルした際の流れをまとめたいと思います。ニッチなジャンルなのか情報が少なく、フランス在住者のブログなどでもまだ記事にされていないようでした。

家族帯同でパリに留学もしくは駐在される方や、音楽留学を考えていらっしゃる方など、一例として参考にしていただければ幸いです。ピアノって意外と簡単に借りられるんだ、というのをぜひお伝えしたいです!

目次

電子ピアノを買うつもりだったのが、Amazon.frでトラブル発生

パリ市内で賃貸物件を探していたとき、私の体感で7割ぐらいは「ピアノ可」や「楽器演奏可」という記載があったのがとても印象的でした。前の住人が置いていったものなのか、ピアノ付きの物件もいくつか見かけました。音楽に対する懐が深いというのか…日本の集合住宅ではなかなか考えられないことだと思います。

フランスは古い建物が多く、街を歩いていても新築マンションのようなものを見かけません。私の住んでいるパリ16区のアパルトマンは1970年代に建てられた築50年の物件(室内はリフォーム済み)なのですが、廊下での立ち話やお隣さんの賑やかな声がそれなりに響いてくる程度には壁が薄いです。それでもピアノ可となっており、本当にびっくりしました。おそらく音楽学生向けのアパルトマンでもない限り、賃貸物件に防音設備はないものと思われます。

夫の留学生活は1年半なので、私たちはお手頃な電子ピアノを買って帰国時に売ることを考えていました。さっそくフランスのAmazonで電子ピアノを注文してみましたが、ここでトラブル発生。支払いのエラーで購入ができないのです。手持ちのクレジットカード2枚とパリの銀行で作ったデビットカードを試し、原因はいまだに分からないのですがどのカードもダメでした…。

フランスは日本のように電子ピアノの種類が豊富ではないため、楽器店にもなかなか置いていないようです。そんなときに出会ったのが、小川さんでした。

在仏20年の日本人調律師さんにお会いできるピアノ工房が、アルクイユにあります

私はフランス在住の日本人が物件を貸したり、習い事の生徒さんを募集したり、帰国前に不用品を売ったりするためのjimomo Parisというインターネットの掲示板を頼ることにしました。そこに、こんな書き込みがありました。

パリで活躍するピアノ調律師、工房には素敵なピアノがあります。月額50€から良質のピアノをレンタル・中古販売しております。ピアノの事なら何でもご相談ください。

私はすぐに電話をかけ、夫とともに小川さんのピアノ工房を訪れることにしました。ここからは少しだけ前回の記事と重なってしまいますが、工房があるのはパリの南から2kmほど離れたアルクイユという街です。

私が住んでいるパリ16区からは地下鉄とRER B線を乗り継ぎ、40分ほどで到着しました。意外と近かったです。切符は片道2.7€ほどで、降車駅はRER B線の「ラプラス駅 (Laplace)」でした。

作曲家のエリック・サティが住んでいたアパルトマンは駅の南側ですが、小川さんのピアノ工房は駅の北側にあります。Googleマップで検索するとこのような感じで、工房の入口が少し分かりづらくなっていて、私たちはジャンヌ・ダルク通りをうろうろしてしまいました。

さて、ジャンヌ・ダルク通りを引き返しラプラス通りに戻ってきました。駅の方に少し歩くと、工房の入口を発見! 看板のようなものがとくに見当たらなかったため、外観の写真を撮らせていただきました。では入ってみましょう。

小川さんの工房「PIANO HARMONIE」には、本当に素敵なピアノがあった

建物の中は小さなアトリエが集まったような雰囲気です。壁に掛けられたたくさんの絵画に迎えられながら、奥の方に進んでいきました。小川さんの工房にはそのとき、アップライトピアノが8台ぐらいと、グランドピアノが3台ほどありました。

アップライトピアノの中では入口付近にあったKAWAIのみすでにレンタルの予約が入っており、私たちはそれ以外のピアノから選ぶことになりました。

予約済みのKAWAIのとなりにあったのが、チェコのWeinbach(ワインバッハ)です。8台の中ではレンタル料金が最もお手頃で、45€/月とのことでした。

こちらのピアノは音色がくっきりしていて、YAMAHAのピアノに近い雰囲気です。小川さんはショパンやモーツァルトのソナタを弾きながら、それぞれの特徴を説明してくださいました。

こちらはラヴェルやリストが愛用していたフランスのピアノメーカー、Érard(エラール)のピアノです。私、実物を初めて見ました!

バーガンディーっぽい色味がかっこいいです。鍵盤が軽く、きらきらした音色が印象的でした。レンタル料金は50€/月とのことです。

こちらはショパンを魅了したことで有名なフランスのピアノメーカー、Pleyel(プレイエル)のピアノです。私の憧れのピアノ、ナンバーワンです!

この日に出会ったピアノの中では最も小柄で、これならエレベーターに載せられるかもと思いました。レンタル料金はエラールと同じで50€/月だったと思います。

そして工房の1番奥にあったのがチェコのPetrof(ペトロフ)で、音がとても柔らかいのが魅力的でした。小川さんによると、こちらはチェコ製ですがハンマーの部分がフランス製に取り替えられており、独特の優しい音色を生み出しているそうです。

先述のエラールとプレイエルはフランスのメーカーですが、ドイツ製のハンマーが使用されていることから、こちらのペトロフの方が「フランスのピアノ」に近いと教えていただきました。工房の中ではレンタル料金が最も高い55€/月でしたが、私はこのピアノを借りることにしました!

搬入日の流れはこんな感じ。お金はどれくらいかかる?

私たちが工房を訪れた5日後、自宅にピアノがやってきました。運送屋さんはフランス語でしたが、小川さんがいつもお仕事を一緒にされている方たちとのことで、安心してお任せすることができました。そして、当日は小川さんも一緒に来てくださいました。

ピアノは残念ながらエレベーターには入らず、階段を使って5階まで運んでいただくことになりましたが、その間に契約書にサインをしました。レンタルの規約としてはこの4つで、とてもシンプルなものでした。

  • レンタルの期間は最短で4ヶ月から。
  • 毎月の定められた日(私たちの場合は13日に搬入されたため、毎月12日)までに月額分を銀行振込でお支払いする。
  • 水漏れや火災などでピアノに被害があった場合は、住宅保険でカバーする。
  • 帰国などに伴いピアノを返却する場合、1ヶ月前に書留(メールでも可)で通知する。

ピアノの運送費に関しては、搬入日に往復分をお支払いすることになっており、返却する際にお金がかからないのが大変助かります。レンタル期間中、1度無料で調律にも来てくださるそうです。この日は現金でのお支払いになりました。請求金額の詳細は以下の通りです。

  • 今月分のレンタル料金 55€
  • 往復分の運送費 130€×2=260€
  • エレベーターに載らなかった分の追加料金(1階につき10€) 5階なので50€×2=100€

合計で415€でした。日本円で5万3千円ぐらいですね。あとは翌月以降、毎月55€を振り込むだけです! リビングには夫の勉強机があるため、ピアノは寝室の窓際に運んでいただきました。

高校生のころから、私はフランスの作曲家が1番好きです。夫の留学先がパリに決まったとき、真っ先に思い浮かんだのは「フランスの作曲家の曲を、フランスで弾きたい!」でした。それでも、電子ピアノが購入できないという思いがけないトラブルが、ピアノのレンタルに転じるとは思いませんでしたが…。

結果的には、電子ピアノを買うのと同じくらいの料金でアップライトピアノを18ヶ月レンタルできることが分かりました。この夢のような日々で、私はピアノをたくさん勉強し、自分自身の成長につなげていきたいと考えています。

小川さんのピアノ工房、詳細はこちらから

「PIANO HARMONIE」のホームページはこちら。ホームページには、小川さんのメールアドレスと電話番号が記載されています。ピアノの在庫は一期一会だと思いますが、丁寧にお手入れされた素敵なピアノがたくさんありました!

音楽留学を考えていらっしゃる方、仕事などでパリに長期滞在される方でご家族のためにピアノをと考えていらっしゃる方は、ぜひ小川さんの工房を訪れてみてください。とても親切に相談に乗ってくださり、安心してピアノをレンタルすることができます。

小川さん、ありがとうございました!

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